無色透明なガラスの素地に乳白色や色ガラスで、レース状の模様を作り出したガラスの総称。 レース模様の入ったガラス器は、古代にも先例がみられるが、これをより洗練された形で復活させ技術的に完成させたのは、16世紀半ばのヴェネチア・ムラーノ島のガラス職人であった。ヴェネチアでは、15世紀からブラーノ島でレース編みが作られ、ヨーロッパ中の人々を虜にしていた。美しいレース編みを連想させる精緻で繊細なレース・グラスは、ヴェネチアン・グラスの代名詞となり、その技法はムラーノ島における門外不出の秘法として守られることとなった。
ヴェネチア・ムラーノ島で、伝統的なヴェネチアン・グラスの技術を伝える VETRERIA ARTISTICA BALLARIN 工房。 1483年から続く歴史の中で、ヴェネチアの名誉ある「6大マエストロ」の一人である15代当主/ジュリアーノ・バラリン氏、16代/ロベルト・バラリン氏は、高度なテクニックを要するレース・グラスの技術を継承し、繊細優美な作品を制作してきました。 2020年、惜しまれながら工房を閉鎖することとなり、今後のヴェネチアン・グラスの歴史において、一層の重要性が高まるとされています。