アトリエうかいが
ショコラにのせる想い
今年も、アトリエうかいのショコラコレクションを皆様にお届けする季節になりました。
名古屋で開催されるショコラの祭典「アムール・デュ・ショコラ」に向けて、動画撮影を行ったグランシェフパティシエ・鈴木滋夫。ショコラやお菓子づくりに対する想いをアトリエうかいの原点となる「銀座うかい亭」で振り返ります。
アトリエうかいの原点に立ち返る
先日は動画撮影のために、私がうかいでパティシエとしてのキャリアをスタートさせた「銀座うかい亭」へ行ってきました。
うかい亭はアール・ヌーヴォーを基調とした店づくりをしていますが、アトリエうかいの店舗やパッケージなどにもそのディテールを取り入れています。
アトリエうかいの「『うかい』の余韻をご家庭へ」というコンセプトは、クッキーだけでなく、ケーキやショコラづくりでも同様に心がけていること。パティシエとして表現できる世界をもっと広げていきたいと、改めて思いました。
アトリエうかいが表現する
ショコラの世界
アトリエうかいのショコラでは、自家焙煎しているカカオ豆を一部、使用しています。
ショコラの苦味は、もちろんカカオ自体の持つ苦さもありますが、焙煎の加減で調整することができます。
ショコラコレクションで私が掲げているテーマは、カカオとのマリアージュ。
定番クッキー「フールセック」や自家製コンフィズリーなどの副素材と組み合わせたときに、より豊かなアトリエうかいらしい表現をお客様に味わっていただきたい。
そのため、私たちが使用するカカオ豆は浅煎りにしています。これにより、強いカカオアタックだけでなく、赤ワインを思わせるタンニンやベリーのような華やかな香りが引き立ってきます。それらがクッキーや副素材と調和することで、奥深く個性的な味わいが生まれます。
カカオ豆に糖衣をかけてチョコレートコーティングしたものが今年のショコラコレクションのなかに入っていますが、お客様に加工する前の素材の顔を知ってもらいたくて、そんなショコラもしのばせました。
カカオ豆は何回も焙煎テストをして、豆も一粒ごとに出来ばえが違うので、何個かサンプルを取り寄せて、何度も食べます。
ショコラを試食するときもひとつ丸ごと食べてみる。
舌先と舌の中央とでは味の感じ方が違います。一口だけ試食しているとバランスの悪い味になってしまうので、最後まで食べたときにどう感じるか、それを大切にしています。
インスピレーションの源となるもの
きれいだなとか、心が動いたことをなるべく書きとめて、そこからインスピレーションを得て、何かのときに結びつける。
例えば、美しい色だなと思ったものを取っておく。おいしいなと思ったレストランの味があったら、それがなぜおいしいと思ったのか、素材なのか、組み合わせなのか、この雰囲気なのか、ということをよく考えて、書きとめています。
そういう自分の幸せな体験をちょっとずつ、ちょっとずつ、ていねいに、ひとつずつのお菓子に込めて、具現化していく。
日々、その繰り返しです。
いろいろなものに心動かされる瞬間があって、それが商品一つひとつの個性につながっているのかなと思います。その商品が果たすべき役割、使命がそれぞれにあって、「この子にはこのメッセージを託そう」と思いながら、お菓子づくりをしています。
ショコラづくりでは、やはり実際にカカオの産地に赴いたときに感じた衝撃が、表現力の源になっていることは間違いありません。
今年もさまざまな産地のカカオ豆と向き合い、テーマに合ったものを選びました。
それぞれのストーリーを持つショコラたちを、心ゆくまで味わっていただければ
幸いです。
ショコラコレクション特集ページ