9世紀に森と湖の国チェコでガラス工業が始まりました。12世紀には教会のステンドグラスの製作が盛んになり、16世紀に入ってルネサンスの影響を受け、ボヘミアン・グラスの本格的な興隆期を迎えました。以来、ヨーロッパの王侯や貴族の間で愛好されたボヘミアン・グラスは、今現在も世界屈指のガラス工芸としてゆるぎない地位を確立しています。
ヴェネチアン・グラスとは 紺碧のアドリア海に面した北イタリアの水の都ヴェネチア。ヴェネチアン・グラスは、古代ローマ時代のローマン・グラスにその起源を発するともいわれ、当時すでにイタリア半島全域には多くのガラス工房が作られていました。ガラス生産の中心地は、1291年の「ガラス製造業者および工人・助手、家族等のすべてをムラーノ島に移住させ、島外に脱出する者には死罪を課す」というヴェネチア共和国の強力な保護政策により、ヴェネチアの本土であるリアルト島から隣のムラーノ島へと移ります。そして今日に至るまで、ムラーノ島はヴェネチアン・グラスの中心地であり、ムラーノ島の人々は、ヴェネチアン・グラスと運命を共にしてきました。